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オキシトシン

「三人寄れば文殊の知恵」:チームの知性の高め方とは?後編

「三人寄れば文殊の知恵」

 

集団的知性という言葉があります。

 

これは文字通り集団が持つ知性のことを意味しています。

 

その昔アリストテレスが喝破したように、私達人間は社会的動物です。

 

それゆえ、私たちは集団として考え、集団として行動します。とはいえ、その振る舞い方はそれぞれです。

 

ある集団は、集団的知性が高く、賢く考え、賢く行動できるかもしれませんが、他の集団は、必ずしもそうとは限りません。

 

このように集団的知性の高さは、集団によってそれぞれ異なりますが、その鍵となるのはコミュニケーション能力です。

 

具体的には、その集団の中にコミュニケーション能力が高い人が多いほど、また集団内の関係性が深いほど、集団的知性が高まることが知られています。

 

今回は、オキシトシンという言葉をキーワードに、集団におけるコミュニケーション能力の高め方や関係性の深め方についてお話したいと思います。

 

オキシトシンとは?

 

オキシトシンというのは出産と育児に関わるホルモンです。

 

このオキシトシンは、人を注意深く、愛情深く、思慮深くさせる働きがあり、コミュニケーション能力を高めるホルモンと考えられています。

 

またコミュニケーション能力を高めるだけでなく、仲間との絆を深める働きがあることが知られています。

 

では、どのような時にオキシトシンが分泌されやすくなるのでしょうか。

 

オキシトシンを分泌するためには?

 

いくつかの研究から以下の4つの方法でオキシトシンが分泌されやすくなることが知られています(※1)。

 

一つは、誰かと一緒にご飯を食べている時です。このようなときにはオキシトシンが分泌されて、仲間同士との絆も深まります。

 

また、共に戦うことでもオキシトシンの分泌が高まります。新人時代、苦労を共にした職場の同期との絆が深くなるのもオキシトシンのおかげです。

 

もう一つはスキンシップを取っている時です。これは自分の子供でもパートナーでもペットでもいいのですが、実際に触れ合うことでオキシトシンの分泌が高まることが知られています。

 

更に一つはなにか親切なことをする時です。寄付をしたり、人助けをすることでもオキシトシンの分泌が高まります。

 

オキシトシンを出すための具体的な取り組みとは?

 

では、具体的な取り組みとしてはどのようなものがあるのでしょうか?

 

ある研究ではカップルを対象にボードゲーム課題(チェス、UNO、モノポリーなど)やアート課題(二人一組で一緒に一つの作品を制作する)を行わせ、オキシトシンがどのように変化するかについて調べています(※2)。

 

結果を述べると、いずれの課題でも課題を行った後にオキシトシンが増える傾向があること、また男性の方がスキンシップの効果が大きく出やすいことが示されています。

オキシトシン放出グラフ

また別の研究では一緒に歌を歌う課題ことでオキシトシンが増えるかどうかを調べているのですが、即興的な歌唱課題でオキシトシンが増えることも報告されています(※3)。

 

まとめ

 

このようにオキシトシンは、人と人とを結びつけ、ひいては集団的知性を高めることができます。。

 

これを増やすための方法としては

 

・一緒にご飯を食べる

・共に戦う

・スキンシップを取る

・親切なことをする

・共に遊ぶ

・一緒に歌う

 

などがあるのですが、これらに共通するのは、場を共にする、ということになります。

 

ともすれば、リモートワークやSNSでコミュニケーションは事足りてしまう昨今ですが、時には職場の気のおけない友人と遊びに出かけて絆を深めてみるのはいかがでしょうか。

 

【参考文献】

 

(※1)Crockford, C., Deschner, T., Ziegler, T. E., & Wittig, R. M. (2014). Endogenous peripheral oxytocin measures can give insight into the dynamics of social relationships: a review. Frontiers in behavioral neuroscience, 8, 68.

 

(※2)Melton, K. K., Larson, M., & Boccia, M. L. (2019). Examining couple recreation and oxytocin via the ecology of family experiences framework. Journal of Marriage and Family, 81(3), 771-782.

 

(※3)Keeler, J. R., Roth, E. A., Neuser, B. L., Spitsbergen, J. M., Waters, D. J. M., & Vianney, J. M. (2015). The neurochemistry and social flow of singing: bonding and oxytocin. Frontiers in human neuroscience, 518.

 

シュガー先生【シュガー先生 プロフィール】
本名:佐藤洋平(さとう ようへい)
脳科学専門のコンサルティング業務を行うオフィスワンダリングマインド代表。理学療法士。現在富山大学医学博士課程にて心と体の関係についての研究を行う。
日本最大級の脳科学ブログである「脳科学 心理学 リハビリテーション」にて、ヒトとはなにか、をテーマに脳科学を超えて学際的な立場から記事を執筆中。
趣味は料理、人間観察、読書(人間に関するものであれば社会学から哲学、経済学まで全般)、語学(フランス語)。
屋号のオフィスワンダリングマインドは、心理学のmind wandering(心のお散歩、ぼんやり頭、ひらめきの源泉)に由来。